英文契約書をみているとしばしば「Liquidated Damages条項」として、「Xが○○条に定める義務を履行しない場合、一日当たり○○円の支払いをしなければならない」などといった条項が見受けられます。
Liquidated Damagesとは、予定損害賠償額のことをいい、例えば義務履行者が義務を怠った場合、損害が発生するが、その発生した損害額を他方当事者が立証するのは困難な場合(開示した情報が漏洩した場合など、その損害の立証は困難ですよね)にあらかじめ約束した損害賠償を支払わせることで立証の困難性リスクを回避するために定められるものです。
この仕組み自体は合理的といえますが、注意が必要です。
まず、準拠法が日本法ではなく英米法系である場合、英米法系の契約法上の救済とはあくまで「補償」であり、懲罰や制裁的な条項は認容されません。
したがい、Liquidated Damages条項が当該契約上の義務違反から生じる損害賠償額より大幅に高額であったりするとそれは「制裁的な条項」であるとして強制不可能な条項と裁判所に認定される虞もあるのです。
(この点、準拠法が日本法であれば、かかる制裁的な性質の違約金の合意も一般的には許容されています。)
Liquidated Damages条項は、準拠法をどうするかを含めドラフティングには注意を要するものといえます。専門家への相談をお勧めします。
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