請負と準委任何が違う?契約書タイトルに「請負/準委任」をつければOK?
- Agree!担当者
- 8月11日
- 読了時間: 3分
業務委託契約書を作成するとき、「これは請負契約なのか、準委任契約なのか」で迷うことはありませんか。
契約類型を誤ると、報酬支払や責任範囲で思わぬトラブルが発生する可能性があります。
「うちは大丈夫。契約書のタイトルに『請負契約書』や『準委任契約書』と書いて区別しています!」と考えている方・・・、実はそれだけでは不十分です!

1. 請負契約とは
請負契約の特徴として下記の3点があげられます。
仕事の完成が契約の本質
注文者は成果物の完成後に報酬を支払う
成果物が契約に適合しない場合は契約不適合責任(旧瑕疵担保責任)が発生
例えば、建築工事、成果物型のソフトウェア開発がその典型といえるでしょう。
2. 準委任契約とは
準委任契約の特徴は下記2点です。
業務遂行自体が目的で、成果物の完成は必須ではない
善良な管理者の注意義務(善管注意義務)を負う
コンサルティング契約、システム保守・運用契約、顧問契約などなどがあげられます。
3. 請負と準委任の違い(一覧表)
項目 | 請負契約 | 準委任契約 |
契約目的 | 仕事の完成 | 業務の遂行 |
報酬支払 | 完成後 | 実施期間・作業時間等に応じて |
責任範囲 | 完成義務+契約不適合責任 | 善管注意義務 |
典型例 | 建築工事、システム開発(成果物型) | 顧問契約、システム保守、コンサル |
4. 契約書でタイトルだけでは不十分な理由とトラブル
ここで注意しなければならないのが、契約書のタイトルを「請負契約書」や「準委任契約書」としても、法律上は実質的な契約書(合意)の内容が優先されます。
契約書の文言で「完成義務」なのか「遂行義務」なのかが明確でなければ、契約類型が変わってしまうこともあります。
そうすると、下記のようなトラブルが考えられうるということです。
成果物トラブル:本来準委任のつもりで依頼したのに、契約書が請負の形になっていると、成果物に対する契約不適合責任を負うリスクが生じる。
報酬支払の可否:請負とすると「完成」がない限り報酬が支払われない可能性がある。
消費税・印紙税の取扱い:契約類型により課税関係が異なる場合がある。
5. 契約書作成のポイント
では、両者を区別した契約書を作成するために気を付けるべきポイントは何でしょうか。
それは、
契約書タイトルではなく、条文の内容で区別させる
成果物の有無と完成義務の有無を明記
報酬支払条件を契約類型と一致させる
法的責任や税務処理まで含めて検討する
最低限これらに留意することが必要です。
6.まとめ
いかがでしょうか。前期までのように請負契約と準委任契約の違いを理解し、契約書に正しく反映させることは、トラブル防止のために不可欠です。繰り返しになりますが、契約書のタイトルだけでは足りず、条文で請負契約なのか準委任契約なのかを明記することが重要です。実務では混合型の業務委託や成果報酬型委任契約など、複雑な類型を契約書に落とし込んでいく必要があるのです。
契約書の作成にあたっては、専門的なドラフティングが不可欠であり、ドラフトをする専門家の経験が大きくその契約書の実効性に左右します。必要があれば、数多くの契約書の作成・レビューを行ってきた「Agree!」の弁護士・弁理士に是非ご相談ください!
Comments